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企業文化の醸成とスピリットを伝承 技術と情熱を蘇らせる「レストア業務」

 ヤマハ発動機株式会社の企業ミュージアム・コミュニケーションプラザには、第一号製品の125ccオートバイ「YA-1」(写真)をはじめ、二輪車を中心に歴代の歴史車両が多数収蔵されています。実際に展示されているのはその一部ですが、1955年の創立以来、当社の歴史を彩ってきた合計約130機種もの製品が「発売当時の姿」で保管されているのです。
 「発売当時の姿というのは、外観だけでなく性能を含めてのこと」と話すのは、コミュニケーションプラザでレストア(復元)と動態保存を担当する花井眞一さん。豊岡工場内に設けられた専用のレストア室では、当社OB社員の力も借りながら日々歴史車両の復元作業が進められています。
 「自分たちの会社でつくった製品を後世に残すということは、企業文化の醸成という意味で非常に大切だと考えています。もちろん60年前の製品と比べればその性能差はあらためて語るまでもありませんが、最新モデルの開発者たちが旧い車両を囲んで語り合ったりする姿を見ていると、私たちの仕事の意義をつくづく感じたりします」(花井さん)。
 レストアは、根気が必要な仕事です。全国の愛好家の皆さんやヤマハ販売店等の手によって長いあいだ大切に保管されてきた車両を探し、譲り受け、繊細な作業を加えることで当時の姿を取り戻していきます。しかし、販売終了後、長期間が経過した製品には補修部品がない場合も多く、たとえそれがボルト一本だったとしても、新たに製作し直すか、または何台も入手した車両の中から使えそうな部品を見つけ出し、新品と同じレベルになるまで手を加える必要があります。一方、素材や加工技術が進化したいま、そのまま手を加えてしまうと実際の部品より品質が良くできてしまうため、当時の完成車の製品状態を思い浮かべながら、できる限り忠実に再現する勘や経験も求められます。
 来館者が一番驚くのは、展示された製品にオイルや燃料を入れるだけで、すべて発売当時と同じように走らせることができると聞かされた時だそうです。「形状や色、素材感を残すことはもちろんですが、機能や性能、排気音まで蘇らせることが私たちのミッション。実際に車両ができるとその都度社内の人々が集まって、細部までチェックのうえ動態確認を行います。そこまでやって、やっと完成ということになります」(花井さん)。
 静岡県袋井市のヤマハコースでこれらの車両の動態確認や点検等行う「歴史車両デモ走行・見学会」を、今年11月14日(予定)、7年ぶりに一般公開して開催することが決まりました。かつて1,200人もの来場者で賑わった人気行事だけに、オールドサウンドを轟かせながらヤマハモーターサイクルの故郷を疾走する歴史車両の姿を一目見ようと、今秋もきっと大勢のファンが駆けつけることでしょう。

<本件に関するお問い合わせ先>
 ヤマハ発動機株式会社 コーポレートコミュニケーション部
 広報グループ  TEL 03-5220-7211

関連URL:http://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/cp/

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