本文へ進みます

【ニュースレター】中山間地の未来を拓く、新たな移動手段「ミニカー」の可能性

~産官学連携で低速超小型モビリティの実証実験 浜松・水窪地区で9月まで実施~

浜松市・水窪地区を走るミニカー。低速車両ならではの運転のしやすさを背景に、
エリア内における自立的な移動手段としての有用性を検証する

海外事例も参考に、日本に適したミニカー活用を検証
 「きっかけは、アメリカのシニアタウンで目にした高齢者の皆さんのいきいきとした笑顔でした。パートナーや友人と一緒にPTV※1で外出を楽しむ姿に、(日本の)中山間地が抱える課題の解決に向けて、一つの糸口になり得るのではないかと考えました」。そう話すのは、当社技術・研究本部の稲波純一さんです。
 静岡県浜松市の水窪地区では、現在、「ミニカー※2」に分類される超小型モビリティを用いて、地域活性化と高齢者のQOL※3向上を目指した実証実験が行われています。気軽に利用できる"自立的な移動手段"として地域に低速のミニカーを導入することで、住民の皆さんの外出促進効果や交通円滑性などについての検証が行われています。
 当社と岐阜大学、浜松市の連携によって今年6月から始まったこの実証実験では、モニターを希望する地域住民計12人にミニカー(国内未発売)を1カ月間貸与。日常生活の中で地域内移動に活用していただき、通信システムやドライブレコーダーによる交通行動観察や使用者へのヒアリング等を行っています。稲波さんは「日本、とりわけ中山間地をはじめとする交通空白地帯のソリューションの一つとして、ミニカーの有用性を検証したい」(稲波さん)と話します。

モニター期間を終えた住民の皆さんとの対話会。「満充電での走行距離は約70キロ。
坂道も力強く上るし、地域内の移動には十分な走行性能」と評価

各種データを解析し、中山間地での有用性を検証
 「ちょっとした遠出を考えるとまだ軽自動車は手放せないが、わざわざクルマを出すには面倒と感じていた近距離移動も気軽に出かけられた部分があった」と話すのは、1カ月間のモニター期間を終えた70歳の男性です。一方、家族3人でシェアしたという自営業の女性は、「お店に来るお客さんにも人気者。かなり本気で『買いたい!』というお客さんもいた。風を感じて走る感覚や、ゆっくり走って町の人と話したりできるのが新鮮だった」と振り返ります。
 モニターとの対話会やアンケートによる調査で特に多かったのは、乗車人員に関する要望でした。「1人だと限られる用途も、2人以上だと拡がると思う。実際、祖母を病院に送って行くときに使いたいと感じた」という声や、「定期的に夫婦で体育館に出かけて身体を動かしている。その移動にも使えたら......」といった意見が聞かれました。
 実証実験の実施は今年9月まで。その後、岐阜大学の研究チームによる走行データの解析等が進められ、中山間地におけるミニカーの有用性の検証や、社会実装における課題の抽出が行われる予定です。「今日から家にいなくなるのが不便だし、寂しくも感じる。もう少し乗っていたかった」――。モニター期間を終え、次のモニターに車両を引き渡した住民の対話会での言葉が印象的でした。

当社米国現地法人で生産するPTVに、日本の保安基準を適合させてミニカー登録した実験用車両

※1 PTV パーソナル・トランスポーテーション・ビークルの略称。アメリカの一部地域において、コミュニティ内移動の手軽な乗りものとして普及する。乗車人員は2~4人程度
※2 ミニカー 国土交通省が定める超小型モビリティのうち、第一種原動機付自転車の定格出力や大きさ等を満たしているもの。乗車人員は1名。道路交通法上は普通自動車であるため運転には普通免許が必要

※3 QOL Quality of Life

■広報担当者より
観光地や交通空白地帯のソリューションとして、当社がランドカーベースのグリーンスローモビリティ(グリスロ)を提案したのは2014年のこと。10年以上が経過したいま、全国で社会実装の事例も拡がっています。その多くは「乗り合い型」の低速モビリティですが、水窪で行われている実証実験のポイントは「自立型の移動手段」であること。いつでも自由に活用できる低速モビリティが日常にあることが、人々の暮らしにどのように変化をもたらすのか?その検証結果を楽しみに待ちたいと思います。
本件に関するお問合わせ先
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
本社:0538-32-1145 / 東京:03-5220-7211
関連リンク
【ニュースリリース】 浜松市の中山間地で 低速超小型モビリティの 実証実験を開始
https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2025/0625/poc.html
ページ
先頭へ