【ニュースレター】がん患者の「希望の光」の研究者を支える医療研究機器
~原点は「がんの子どもを助けたい」。CELL HANDLER2が米国がん研究機関で活躍~

Fred Hutch Cancer Centerに納入されたセルハンドラー2とTaran Gujral博士
産業用ロボット技術を医療研究分野へ
「技術で彼らの力になれないか」―。当社が医療分野へ挑戦するきっかけは、2010年に1人のエンジニアが、小児がん患者の過酷な闘病生活を伝えるニュースを目にしたことでした。社内では当初「業界がかけ離れている」との声も出ましたが、古い工場倉庫の片隅から始まった挑戦は、次第に仲間を増やして歩みを進め、2017年に初代「CELL HANDLER(セルハンドラー)」が発売されました。
セルハンドラーは、産業用ロボットの開発で培った技術を医療研究分野に応用した細胞ピッキング&イメージングシステムです。電子部品より小さな、1㎜にも満たない繊細な細胞を、壊れないように特殊チップで選択・吸引。培養プレートへ移動させるとともに、画像データを取得します。それまで手作業だった工程を飛躍的に効率化・精緻化させ、新薬開発等に向けた細胞研究の現場に貢献しています。
そして2025年、AIなどの最先端技術を取り入れ、操作性を向上させた後継機「セルハンドラー2」を上市。さっそく、米国の著名ながん研究機関「Fred Hutch Cancer Center(フレッド・ハッチ・キャンサー・センター)」で採用されました。

電子部品より小さく繊細な細胞を壊れないように吸引できる特殊チップ
「手作業で数時間」の手間を大幅に短縮
「セルハンドラー2」を採用したFred HutchのTaran Gujral(タラン・グジュラル)博士の研究対象は、年間10万人あたり6例未満の希少がん。ただ、さまざまな希少がんを合算するとがん患者の約25%に上ります。小児がんの多くもそこに該当します。しかし、抗がん剤の開発は通常10年以上かかり、症例の少ない希少がんの創薬研究はなかなか進まない現状があるそうです。
Gujral博士の研究室では、既に別の病気に対するFDA(アメリカ食品医薬品局)認可を得たさまざまな薬剤をがんの細胞に投与し、反応を示す薬剤を調べています。標準治療薬がない、または効かなくなってしまった患者にとって、この研究は「希望の光」ともいえます。
研究室では、9月から本格的に作業工程でのセルハンドラー2の運用が始まります。Gujral博士は、「これまでは完全な手作業で数時間かかっており、患者から提供してもらった貴重な検体のロスにも繋がっていました。その労力と時間が短縮できれば、検体を無駄にすることなく多くの試験を行い、より迅速に、より良い治療法の候補を見つけ出せるはず」と期待します。
がんに苦しむ子どもたちを笑顔にしたい-。その願いの実現に向け、セルハンドラー2は、今日も研究者の熱意を支えています。

セルハンドラー2を開発したMDB(メディカルデバイスビジネス)部メンバーら
■広報担当者より
今夏から、セルハンドラー2を使って希少がんの治療法探索に取り組むGujral博士は、「私たちが確立する薬剤スクリーニングプラットフォームは、他のがん治療拠点でも活用できると思います」と話します。セルハンドラー2が彼らの研究を後押しし、一人でも多くの患者の笑顔と希望の輪が広がればと、心から願います。
本件に関するお問合わせ先
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
本社:0538-32-1145 / 東京:03-5220-7211
関連リンク
CELL HANDLER 2 製品情報
https://www.yamaha-motor.co.jp/hc/product/